ドラマ「虎に翼」で、主人公寅子(伊藤沙莉)の父直言(岡部たかし)が逮捕された「共亜事件」のモデルとなったのは、実際に起きた「帝人事件」です。
この事件は、大規模な贈収賄疑惑事件として知られており、ドラマの重要な背景となっています。
実際に起きた「帝人事件」と、虎に翼の「共亜事件」の共通点と背景を徹底解剖していきます。
1. 帝人事件の背景
帝人事件は、1934年に発生した贈収賄疑惑事件で、帝国人造絹糸株式会社(現在の帝人)が関与しました。
事件の背景には、大恐慌後の経済情勢や株式市場、内閣総辞職の目的があったのではないかと言われています。
マスコミを使って事件をでっち上げ、その背後にいたのは、司法官僚出身で当時枢密院副議長で、内閣総理大臣の地位を狙う平沼騏一郎とされています。
ドラマ「虎に翼」でも、寅子が何者かに襲われた際に、竹中記者(高橋努)は、
子供が突っ込んで良い事件じゃない!と言い、
内閣を総辞職させたい「水沼淳三郎」が絡んでいると考えているというシーンがありました。
2. 事件の経緯
帝人事件は、帝人の株式売買を巡るものでした。
元々は鈴木商店が持っていた帝人の株が担保として台湾銀行に移り、その後の株価の上昇と報道により大きな騒動となりました。
3. 「帝人事件」と「共亜事件」の裁判と結末の共通点
裁判の結果
「帝人事件」では、帝人社長や政財界の大物たちが起訴されました。
しかし、1937年12月26日、東京地方裁判所(藤井五一郎裁判長)は、「16人全員に無罪」を言い渡しています。
「虎に翼」(5月2日放送)では、16人の被告人が法廷に入っていました。
ドラマまた、直言が読んでいた新聞にも「16人の被告」と書いてありました。
警察や検察の強引な捜査手法
帝人事件の捜査に携わった検事たちも、警察や検察の強引な捜査手法が顕在化していた時代です。
その中には適切な手続きや個人の権利を無視したり、強引な尋問や拘束を行うこともあったとされています。
「虎に翼」(5月2日放送)でも、直言が皮手錠をかけられ、独房でもがいているシーンがありました。
ドラマ検事によって精神的に追い詰められて嘘の自白を強要され、今もなおフラッシュバックに苦しむ様子が描かれました。
4. ドラマ「虎に翼」との関連
ドラマ「虎に翼」では、主人公の寅子の父・直言が帝都銀行に勤務しています。
ドラマでは帝人事件をモデルとした「共亜事件」として描かれました。
直言は、共亜事件において、
帝都銀行の理事と共謀して株券などの運搬役をしたという贈賄罪に問われました。
しかし、実際には、事件当日は在宅していたことがはる(石田ゆり子)の日記や、帳簿から証明されました。
寅子の父が、警察や検察によって事実を捻じ曲げられ、
そしてマスコミがあたかも事実のように報道し、猪爪家が事件に巻き込まれる過程やその影響が描かれました。
5. まとめ
帝人事件は、日本の歴史における重要な事件の一つです。
その影響は現代にも及んでいます。
ドラマ「虎に翼」では、この事件が物語の重要な要素となっており、視聴者にとっても興味深いテーマとなっています。